わたしたちにできること

2020年7月28日

【具体例付き】ケース別に遺留分割合を説明!遺言があったら要注意!!

家族が亡くなり、いざ相続の手続きをしようとしたところ

 

「遺言があるからあなたには相続できません。」なんて言われたら、ビックリしませんか?

 

逆に相続が確定して、手続きが終わったにも関わらず「私には遺留分があるから、財産を返してください」なんて言われたら、どうしていいか分かりませんよね!

 

遺産相続では

・遺言によって本来相続人じゃない人に財産が渡ってしまう

・貰えるはずの財産が全くもらえなかった

・明らかに理不尽な割合で分割されている

 

など、予想外のケースが起こりうることがあるんです!

 

そんな遺留分の侵害をされた場合、法定相続人の立場から、遺留分を主張することができます!

 

しかし、実際遺留分について詳しく知らなかったり、遺留分の割合ってどれくらいなの?

 

と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

 

遺留分の割合も知らなければ、自分が遺留分が侵害されているのかもよくわからないですよね…

 

今回はそんな疑問について、解決していきたいと思います!

 

 

遺留分とは

遺留分とは、相続の財産を確保できる最低限の割合です。

 

民法では、遺言を持ってしてでも奪うことのできない相続人の取り分が用意されているのです!

 

「遺言が残されていたけど、相続人である自分の取り分が少なすぎる!」

「父親と疎遠だったせいで、相続財産をすべて長男へ譲るという遺言が…」

 

そんなとき、相続人には遺留分が侵害されたとして、足りない分を返してもらうことができるんです!

 

上記の場合、遺留分の割合に満たない財産を相続したため、長男に不足分を請求することができるんです!

 

「私も相続人だから、最低でも遺留分をもらう権利があるから遺留分に見合う財産を返して下さい!」

と、長男に請求できます。

 

このような請求を、遺留分侵害額請求といいます。

 

また、遺留分侵害額請求をすることができる権利を遺留分侵害額請求権といいます。

 

これは法律によって保護された権利なので、期間内に遺留分侵害額請求を行使する限り、侵害した相続人(長男)は基本的に遺留分に見合う額を渡さなければいけないのです。

 

ケース別でみた遺留分の割合

遺留分の割合は、「誰が相続者なのか」によって異なります。

 

相続人ごとの遺留分の割合を表にまとめると、

このような感じです。

相続人 遺留分合計 配偶者の遺留分 子供の遺留分 親の遺留分 兄弟姉妹の遺留分
配相偶者のみ 1/2 1/2
配相偶者と子供 1/2 1/4 1/4
配偶者と親 1/2 1/3 1/6
配偶者と兄弟姉妹 1/2 1/2
子供のみ 1/2 1/2
親のみ 1/3 1/3
兄弟姉妹のみ

 

 

では、それぞれのパターンで割合をみていきましょう!

 

相続人が配偶者だけの場合

 

相続人が配偶者だけの場合、配偶者の遺留分は全体の相続財産の1/2です。

 

例えば、夫の相続財産が1億円だった場合、

妻の相続財産は5,000万円です。(1億円×1/2)

 

この場合、遺留分は全体の相続財産の1/2になります。

 

相続人が配偶者と直系尊属(親)の場合

 

相続人が配偶者と直系尊属(親)の場合、

配偶者の遺留分は1/3、直系尊属の遺留分は1/6です。

 

例えば夫の相続財産が1億5,000万円だった場合、

妻は5,000万円(1億5,000万×1/3)

親は2,500万円(1億5,000万×1/6)になります。

 

もし両親が2人ともご健全の場合は、

1/6を2人で分けるので、1/12ずつになります。

相続人が配偶者と子供の場合

 

相続人が配偶者と子供1人だった場合、遺留分はそれぞれ1/4ずつです。

 

例えば、相続財産が1億円で、相続人が配偶者と長女だった場合、配偶者と長女の遺留分は2,500万円です。(1億円×1/2×1/2)

 

一方、もし子供が2人の場合、配偶者が1/4、子供は1/8(1/4×2)になります。

したがって配偶者の遺留分は2,500万円と変わらずで、子供は1人1,250万円になります。

子供の人数が増えると、子供の遺留分は子供の頭数で分けます。

 

そして、この場合も遺留分は相続財産全体の1/2になります。

相続人が子供だけの場合

 

相続人が子供しかいない場合、子供の遺留分は1/2となります。

従って、相続財産が1億円で、相続者が子供1人の場合は、

遺留分は5,000万円になります。(1億円×1/2)

 

そして、子供が複数人いる場合は、子供の頭数で割ります。

 

例えば

相続財産が1億円で、相続者が子供4人の場合、

1人あたりの遺留分は1,250万円になります。(5,000万÷4人)

 

相続人が親(直系尊属)だけの場合

 

相続人が親だけだった場合、遺留分は1/3です。

 

例えば、相続遺産が1億5,000万円だった場合、

親が受け取る遺留分は5,000万円となります。(1億5,000万×1/3)

 

従って、この場合の遺留分の合計は、相続財産の1/3となります。

 

相続人が兄弟姉妹だけの場合

 

兄弟姉妹には遺留分がありません。

 

従って、遺言で兄弟姉妹以外の誰かにすべて相続財産を渡す旨の記載があれば

兄弟姉妹に打つ手はありません。

 

つまり、遺留分はゼロです。

相続人が配偶者と兄弟姉妹だった場合

 

相続人が配偶者と兄弟姉妹だった場合、配偶者の遺留分は1/2、兄弟姉妹は、ゼロ。

 

従って相続財産が1億円の場合、配偶者の遺留分割合は5,000万円ということになります。

 

兄弟姉妹に遺留分がないため、遺留分全体を配偶者が取得する形になります。

 

遺留分の権利ってだれにあるの?

遺留分の権利は、相続人だれにでもあるわけではありません!

 

認められているのは

 

・配偶者

・子(直系卑属)

・親(直系尊属

 

です。

ご覧の通り、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません!

 

兄弟姉妹を代襲相続した姪や甥も同様に、遺留分はありません。

このように、遺留分はだれにでもある権利ではなく、あらかじめ遺留分の権利を持っている人は決まっているのです。

 

注意点

兄弟姉妹は、相続人になることはできます!

したがって、相続人が配偶者と被相続者の弟だとすれば、それぞれの割合で遺産を受け取ることができます。

 

ただし、被相続人が「配偶者に全財産を譲る」旨の遺言を残した場合、兄弟姉妹には遺留分がないため、相続人であっても遺産を受け取ることができません。

 

 

養子の場合はどうなるの?

相続人の中に、養子がいるケースもありますよね!

 

その場合も、養子の相続分や遺留分は、実子とまったく変わりません!

 

従って、養子の場合も、上記で説明した子供がいる場合と同じように遺留分を計算することができます。

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組がありますが、どちらも相続分、遺留分の割合に相違はありません!

 

遺留分に時効はある?

先ほどもお話した、遺留分を侵害されたときにお金を返してもらうことができる「遺留分侵害請求権」には、時効があります。

 

期間は、

遺贈があったことを知ったときから1年間行使しなかったとき

 

相続開始の時から10年経過したとき

 

となります。

この期間を過ぎてしまうと、本来請求できるはずだった権利が、失効してしまいます。

 

まず、自分の相続が侵害されていると知ってから、1年以内に遺留分侵害額請求を行わないと、遺留分侵害額請求権は消滅してしまいます。

 

「遺留分侵害の事実を知ってから1年」というのは、「遺贈の事実及び、遺贈を少なくすることができると知ったとき」の両方の条件を満たした場合に計算がスタートするとされています。

 

また、10年の期限に条件はなく、故人が亡くなられたときから10年を経過すると、時効となり遺留分侵害額請求権は使えなくなります。

 

このように遺留分には時効の制度があるので、遺留分侵害額請求をお考えの方はできるだけ早く手続きされることをお勧めします!

 

まとめ

今回は、あまり知られていない遺留分についてや、遺留分の割合についてご説明させていただきました!

自分は相続できると思っていたのに、「遺言があって全くもらえなかった!」なんて事態もありえることなので、遺留分については知っておいた方がいいですね!

各家庭の相続人によって遺留分の割合や金額が変わってくるので、自分の遺留分はどれくらいなのか、よく知っておくことが大切です!

 

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